東京ヴァルハラ異聞録

総力戦が終わるまでは自由行動。


ここで撤退する事も出来たけど、川本を助けるという目的がある以上、千桜さん達を頼るわけにはいかない。


ビルの上を移動し、通りを南下すると、大きな道がYの字に合流している交差点にやって来た。


総力戦が始まってしばらく経ったから、南軍の軍勢もここまで押し寄せているみたいで、通りでは戦闘が繰り広げられている。


それとは別に、北の方で激しい戦闘の音も聞こえる。


三原か有沢が戦っているんだろう。


そんな中、耳を澄ましている俺は、奇妙な音を聞いた。


何かが……壁に擦れるような音だ。


良く見れば、ビルの屋上には人為的に付けられたであろう、鉄の杭というか……棒というか。


そこにロープが巻かれていて、壁面の方に伸びていた。


「なんだ……この棒」


ゆっくりと近付いて覗いてみると……。








そこには、首にロープをかけられた人達が、10人ほどぶら下がっていたのだ。








「う、うおっ!」


その異様な光景に驚き、尻餅をついた。


風が吹いて揺れるたび、衣類が擦れる音が聞こえる。


この死体の群れが出している音だったのか。