東京ヴァルハラ異聞録

「ぐっ!」


蹴られて身体が仰け反り、俺は床を蹴って後方に飛んだ。


バランスを崩しそうになるのを何とか耐えて。


「やはり攻撃が鋭いですね!あんなのが当たればひとたまりもありませんよ!」


ニコニコと、拍手をしてみせるマスターに、少しイラつく。


「あっさりと回避されてるのにそんな事を言われてもね。遊ばれてるようにしか思えませんね」


「それは申し訳ございません。ですが、本心を言ったまでですよ」


この強すぎる中年を相手に、俺はどう戦えば良い?


日本刀の上に乗られるという事自体、滅多にある事じゃないのに、さらにスキップまでしたぞこの人。


「私が聞きたいのは、キングの場所。そして、川本さんがどこに連れて行かれたか……です。教えてくだされば、無益な殺生はいたしません」


「残念だけど、川本がどこに連れて行かれて、何をされるかは俺も知らないです。殺される前に助けたいとは思っていますけど」


「……西軍であるあなたが、敵である川本さんを助けると?それはどういう事ですか?」


三節棍を手から離し、首を傾げて俺を見る。


何もかもが他の人とは違うな、この人は。


話を聞く為とは言え、戦闘中に武器をしまった人を俺は見た事がないぞ。