東京ヴァルハラ異聞録

「わ、わたるくん……わかりました。頼みましたよ!」


「ええっ!?昴くんを置いて逃げちゃうんですか!?」


「僕達まで死ぬわけにはいかないでしょ!死にたくなかったら早く!」


そんなやり取りをしながら、千桜さんと籾井さんはビルを飛び、秋葉原の方へと逃げて行った。


その間、大塚は俺に攻撃を仕掛けようともせず。


「一つ、よろしいですか?」


「え?あ、はい」


やっぱり調子が狂うな。


こんな丁寧な敵は見た事がない。


「あなたは彼らよりも随分年下に見えます。それなのに、どうして残って私と戦おうとしたのですか?」


「ど、どうしてって……俺は星5レアだし、あの二人のどちらかが残っても、きっと見捨てて逃げるなんて出来ないから」


「……素晴らしい!いやあ、あなたのような若者に、そんな自己犠牲の精神を持った方がおられたとは!私、とても感動しました!」


そう言って、いつの間にか距離を詰められて握手をされていた。


いつ……動いたのか全くわからなかった。


超高速とか、目にも留まらぬ速さとか、そんな言葉で表現出来るもんじゃない。


さっき、いつの間にか俺達の中にいたような、意識の外からやって来た感覚だ。