東京ヴァルハラ異聞録

A2の出口から地上の様子を窺い、やつらと遭遇しないように慎重に出る。


「オラオラッ!その程度なのか!?そんなので私を殺せると思ってんのかよ!!」


目の前の通りの方からそんな声が聞こえる。


「この声……川本だ」


「わたるくん、川本と面識が?」


千桜さんがそう尋ね、俺は頷いた。


「一度、一緒に戦った事があります。その時にナイトを発見して」


「そうですか。ですが、今は忘れてください。その時は共に戦ったかもしれませんが、今は彼女の生死は僕達には関係ありません。たとえ死に直面していたとしても、見捨ててください」


冷徹に聞こえるけど、それが偵察任務の鉄則なのか。


ハッキリと物事を言う千桜さんだからこそ、その言葉に裏は隠されていないとわかる。


ビルの陰に移動し、大通りで戦う川本を見ながら。


「うわっ……何あの子。あんなに強いのにめっちゃ可愛いじゃないですか。俺の好みですよ」


「……籾井さん。わたるくんに言ったばかりなのに、変な感情を持たないでくださいよ」


籾井さんは自分に素直と言うか、思った事を口に出すんだろうな。


「じゃあ我々はビルの上に移動しましょうか。見るべきは川本達ではなく、ゼロ・クルセイダーズの戦力ですから」