東京ヴァルハラ異聞録

そんな音を聞き分ける事が出来るのか!?


どうして千桜さんがこんな人を呼んだのかがわからなかったけど、この能力があれば無駄な戦闘は避けられる。


偵察向けの能力だから、千桜さんは呼んだのか。


「……音が移動を始めましたね。A1、2辺りから出れば大丈夫みたいです」


そう言い、壁から耳を離した籾井さんは出口を指差した。


「では、そこから出ましょう。わたるくんは僕達の後を付いてきてください。キミはまだ偵察をわかっていないようですから」


「あ、はい……」


そういう任務とは言え、今までみたいな「とにかく戦え、殺せ、強くなれ」というものではない。


俺が経験した事のない、隠密行動と言うべきか。


今までとは真逆の行動をしなくてはならない。


千桜さんと籾井さんの後に付いて、階段を上る。


そう言えばこの二人、武器が棒手裏剣と忍者刀なんだよな。


だから隠密行動が得意なのかと思ってしまう。


俺も、こんな行動が出来れば……。


浅草寺でも、篠田さんと御田さんに正面突破を任せて、沙羅と梨奈さんを助ける事が出来たかもしれない。


思い返せば後悔しかしない。


早く沙羅に会いたい、早くバベルの塔に行きたい……色々と思う事はあるけれど、その前に俺自身がもっと強くならなければならない。


次は後悔しないように。