東京ヴァルハラ異聞録

階段を上がり、改札口の方に向かうと、俺はその光景に愕然とした。


人が死ねば、光の粒に変わる。


飛び散った血も肉も、それと共に消え失せるというのが普通なのに。


この地下にいる人達は、内臓を飛び散らせ、手足が欠損した身体を横たわらせて息絶えていたのだ。


その数は40を超える。


「うわー……俺、こういうのダメなんですよ。てか、なんで死体が消えてないんですか」


口に手を当て、あからさまに嫌そうな表情で籾井さんが尋ねるけど、それは死体の状態にあった。


「きっと、PBT を破壊されたんでしょう。普通なら消えるのに消えないって事は、それしかないじゃないですか」


死体を指差した千桜さん。


その指の先には、ポケットに何かが刺さったような跡があったのだ。


「聞いた事がありました。三原国光……PBT破壊の三原じゃないですか」


「そう。やつが通った跡には、消えなかった死体が溢れる。こうは言いたくないですけど、最も効率が良い殺し方をする男ですよ」


PBT破壊の三原か。


戦っている中でも的確にPBTを狙うなんて、とんでもなく強いやつじゃないか。


帽子に手を当て、篠田さんを思い出して俺は俯いた。