東京ヴァルハラ異聞録

そう思っていた時、反対側のホームに電車が入って来た。


「これで南軍が暴れてくれたら、その混乱に乗じて侵入すれば良いだけですね」


「そういう事です。もしも誰も来なかったら……その時はその時で考えましょう」


反対側の電車も通り過ぎ、ホームが姿を見せる。


だけど……何か違和感がある。


「わたるくん、顔を引っ込めて。影が赤い……あれは南軍です」


さっきいた見張りは五人。


それが四人になっているけど……一瞬で見張りを全員殺したのか。


まあ、地下鉄に乗れるような強さなら、それも出来るかもしれないな。


「これじゃあ騒ぎにならないんじゃないの?」


籾井さんと同じ事を俺も考えていたけど……千桜さんは首を横に振った。


「あれは……三原国光(ミハラ クニミツ)。それだけじゃないですよ……大塚紀久(オオツカ ノリヒサ)に川本七花に、有沢帆純(アリサワ ホヅミ)までいる。これは……混乱に乗じてとかいうレベルではありませんよ。見付かれば、僕達も殺されかねません」


有沢……俺がこの街来て初めて殺した男。


あの時は油断していたから倒せたようなものの、まともに戦えばどうなるか。


有沢や川本が油断出来ない相手だというのはわかっているけど、残りの二人も、ただならぬ雰囲気を感じる。