東京ヴァルハラ異聞録

籾井さんの顔も見ずに、千桜さんは線路の方を見ているだけ。


「あ、キミかぁ。俺を助けてくれたんだって?いやあ、話を聞いて怖くなったよね。まさかソウル0で操られてたなんてさ」


俺の肩をポンポンと叩き、嬉しそうな表情で話をする。


操られている時の姿しか知らないから、なんだかイメージが違うな。


「総力戦が始まってから電車に乗りますよ。南軍が攻めている時に乗り込んだ方が目立たないですからね」


なるほど、適当にこのルートを選んだというわけではないみたいだな。


「地上から行った方が良いと思うんですけど、そうしない理由はなんですか?」


「ゼロ・クルセイダーズは縄張り意識が強いんです。地上には地下以上の見張りがいます。外部から侵入しようとすれば、見付かれば必ず連絡をされるんです。それは避けなければなりません」


なるほど。


外なら広範囲を見渡せるけど、屋内なら視界は制限される。


どこに見張りがいるかわからない外を移動するよりは、見張りがいる場所が予想しやすい地下を移動ってわけか。


「千桜さん、結構考えてますよね」


「籾井さんが考えてなさすぎるんですよ」


なんとなくだけど、この二人の関係性がわかったような気がする。