東京ヴァルハラ異聞録

店を出て、北軍の方に向かって歩く。


千桜さんと悟さん、愛美が先を歩き、俺は美姫の隣に。


「食べさせてくれてありがとうね。私さ、お腹が減ってると力が全然出なくて」


無邪気な笑顔を浮かべてそう言うけど、この人はどう見ても俺より年上なんだよな。


「えっと、美姫さん?」


「さん付けなんてやめてよ。美姫で良いよ。ご飯を食べさせてくれたから、わたるくんは呼び捨てにしても許してあげる」


「……昴です。わたるじゃありません」


「そ、そうなの!?あの人がわたるくんって言ってるから、てっきりそうだと……ごめんね」


まあ、千桜さんはなんというか特殊だからな。


別に名前なんてこの際どうでもいいし。


それよりも気になるのは、何の効果もないという美姫の指輪だ。


「美姫は、指輪を引いたんですよね?それ、ちょっと見せてくれませんか?」


「え?うん。これなんだけどね」


そういうと、右手の人差し指に装着された指輪を見せてくれた。


大きな赤い石が付いている、何の変哲もない指輪に見える。


武器じゃないと言えば、真っ先に思い付いたのが麻衣のイージスの盾だけど。


あれは攻撃を跳ね返すから、戦う事が出来るんだよな。