東京ヴァルハラ異聞録

「いや、僕はどこにも属してないんですよ。と言うよりも、橋渡し的な役割を担ってて。三つの勢力の中にいる感じですかね」


「なるほどね。で、その美姫って子をどこに連れて行く気だったわけ?三つの勢力の間にいるって言うなら、お荷物はない方が良いだろ?」


タバコを灰皿に押し付け、愛美が美姫を指差して尋ねた。


「……さっきも言った通り、この子は武器が指輪で、戦う力がないんです。だから、敵に攻め込まれる可能性が低い、橋本さんに話したら面倒を見てくれると言われてですね」


それで、北軍側に向かっている時にやつらに襲撃されて逃げてたってわけか。


これは、北軍の秋本派と神凪派以上に複雑な気がするな。


「とりあえず、俺達も行く所がないから、一緒に橋本さんを訪ねてみるか。千桜さんもそれでいいでしょ」


椅子から立ち上がり、千桜さんに笑って見せた悟さん。


「え、ええ。皆が良ければ僕は助かりますけど。またやつらに襲われないとも限りませんからね。だけどまだ行くわけにはいきません」


真面目な表情で、そう言った千桜さん。


動けない理由があるのかと思い、言葉の続きを待ったけれど。


「……彼女がまだ食べています。満足するか、お金が尽きるまではまで止まりません」


チラリと美姫を見ると、次はカルボナーラを食べていて、どれだけ食べるんだと唖然として俺達は見ていた。


美姫が満足したのは、それから一時間後、俺の所持金が3万も減った時だった。