東京ヴァルハラ異聞録

「え、えっと。話を戻しましょうかね。そう、10日もあれば勢力図なんて容易に変わるんです。新人が一つの組織のトップに立つくらいには」


千桜さんが気を取り直して話し始めた。


俺達は魂の結晶を手に入れるのに時間が掛かったけど、運が良いやつなら街中にいるポーンを一匹倒せば手に入るんだ。


いつの間にか俺達が抜かれているなんて事もあるかもしれない。


「……千桜らしくないね。隠さずに言っちゃいなよ」


タバコに火を点けた愛美が、千桜さんにタバコを向ける。


「新勢力の一つに、月影乃亜(ツキカゲ ノア)が率いるものがあるんですが……嵐丸さんは、月影について行ってしまったんですよ」


その言葉に、悟さんと愛美が驚いた表情を見せた。


「あの嵐丸さんが!?それにしてもその月影っての……誰なんだよ聞いた事ないぞ」


「ああ、乃亜ちゃんは私と同じ時にこの街に来たんだよ。私と違って、すっごい剣を引いてさ。どんどん強くなって行ったの」


ドリアを食べながら、美姫が悟さんに嬉しそうに答えた。


「そう……月影乃亜は、この街に来て10日しか経っていないのに、凄まじい力を得たんです。まあ、強さだけではないんですけども」