東京ヴァルハラ異聞録

もう一人の男も、ランスでナイトの心臓を貫いて、難なく倒していた。


「ふぅ……まあ、この程度だよな。『まだ』ナイトだからさ。この上になるとタイマンは辛いかもしれないな」


武器を離し、そこに落ちていたキャップを拾い上げたランスの男。


パンパンと埃を叩いて、俺に歩み寄るとそれを被せてくれた。


この人、戦っている時と随分印象が違う。


荒々しい口調だったけれど、今は優しさすら感じる。


「いやあ、ずっと見てたけどさ、あの程度でナイトに勝つつもりだったわけ?動きにも無駄が多いし、本当にアイツに選ばれたのか?」


「恵梨香ちゃんが言ってたんだからそうじゃないの?無茶をする所なんてそっくりじゃないの。なんて、こんな事を言ってもお前さんにはわからないよな」


ショットガンの男が笑いながら、俺の頭に手を置いた。


「た、助かりました。あなた達は一体……恵梨香さんの仲間なんですか?」


何となく、恵梨香さんに会った時ように懐かしい感じがするけど。


「こっちのフリーターっぽいおっさんが名鳥順一(ナトリ ジュンイチ)。俺は黒井風助(クロイ フウスケ)だ。お前に興味があって見に来たんだけど、タイミングが良かったな」