東京ヴァルハラ異聞録

「はっ!そうやって近付いて、間合いに入ったら殺ろうって魂胆か!?その手には……」


鞭を伸ばし、振り上げようとした愛美に、俺は手を伸ばした。


「待って。この人とは……俺が話すから。二人は武器をしまって大丈夫」


「お、おい!正気かよ!!相手は死神だろ!?お前、どれだけ死神と縁があるんだよ!」


愛美がそう言うのもわかるけど、この人は今まで出会った人とは違う気がするから。


「少年、名を聞こうか」


「俺は昴。結城昴です。あなたは?」


俺がそう言うと女性は動きを止め、フッと笑った。


そして……。


トの字の武器、トンファーを両手に持ち、腰を落とした構えたのだ。


「名を知りたければ私に勝って見せろ。ガッカリさせるなよ?少年」


「やっぱり殺る気か!?だから言っただろ!」


いきり立つ愛美に首を振り、俺も日本刀を構えた。


「よろしくお願いします」


何か違う。


この人には殺意が感じられないし、俺も……いや、この日本刀が、何かを求めているような気がする。


「では、行くぞ?」


そう言い、床をトンッと蹴った瞬間、左右から俺を挟み込むようにトンファーが襲い掛かった。