東京ヴァルハラ異聞録

隅田川を渡り、バベルの塔……両国国技館の近くにあるホテルまでやって来た俺達は、屋上に身を潜めて様子を窺う。


「相変わらずうじゃうじゃいるな。それに、あのデカいやつ。ナイトってのか?あいつのおかげで難易度が上がってる気がするよな」


「こいつを囮にしてる間にポーンを殺るって手もあるけどな」


そんなに俺に殺された事を根に持ってるのかよ。


決闘だったんだから、仕方ないだろ。


「まあ、それは冗談にしても、その分はぐれが増えてるってのはラッキーなのか。俺達の目的はあいつと戦う事じゃないからな」


バベルの塔はこの世界の中心。


良く見れば、他の軍にも俺達と同じ事をしようとしている人の姿が見える。


「さて、ここからは根気の勝負だぞ。腹が減ったら近くにハンバーガー屋があるし、眠くなったらここはホテルだ。お互いに連絡を取れるようにして、交代で見張りをしながらはぐれを待つというのはどうだ?」


俺はどの方法が良いかはわからないから、悟さんに従うだけだ。


「それも良いけどさ、一度飛び込んでみないか?危なくなったら逃げれば良いだろ?決まった範囲までしかヤツらは追って来ないんだから、やってみる価値はあると思うね」