東京ヴァルハラ異聞録

建物の上を通り、吾妻橋まで急ぐ。


あいつらは道を走って行ったから、一直線に吾妻橋に向かえば間に合う可能性はある。


本当に俺はバカだな。


麻衣がいたとは言え、会ったばかりのやつらの言う事を信じるなんて。


あいつらにしてみれば、沙羅は助ける価値はあっても、梨奈さんを助ける意味はなかった。


敵の敵は味方だなんて理論、この街では通用するはずがなかったんだ。


それでも、俺は許す事が出来なかった。


移動を続け、浅草駅が目の前に。


吾妻橋も眼前にあり、そこにいる三人の姿が見えた。


何かを待っているようだけど、足を止めているならこちらにとっては都合がいい!


郵便局から飛び降りて、浅草通りを橋に向かって走る。


「!?おい!あいつもう来やがったぞ!」


「狼狽えるな龍!ここは俺が止める!」


高速で迫る俺に、将太がデュランダルを抜いて構えた。


橋の口、俺は走る速度そのままに、将太に向かって飛び上がった。


「お前ら!!よくも梨奈さんを!!」


日本刀の間合いの外で振り下ろし、見えない斬撃を見舞う。


しかしそれは、デュランダルを掲げた将太によって難なく防がれる。