東京ヴァルハラ異聞録

怒りに震える手で日本刀を振り下ろしたその時だった。


誰かに腕を掴まれ、日本刀は動きを止めたのだ。


「ボウズ、憎しみで人を殺すんじゃない!憎しみは憎しみを呼ぶぞ!」


御田さんが、俺の腕を掴んでいたのだ。


吉良と戦っていたはずなのにと背後を見ると、血を流して倒れている。


まだ生きているみたいだけど、こんなに早く終わらせるなんて。


「でも、でも!!こいつは梨奈さんを!!」


「それはわかる!じゃが、悲しんでも恨んでも、完全に死んだ者は帰って来ん!まだ黒崎がいるじゃろうが!!やつらを追うぞ!!」


御田さんにそう言われ、俺は自分の無力さを痛感するしかなかった。


「ああああああああああああああああああああああああっ!!」


そう叫ぶ事しか出来なくて。


「はぁ……はぁ……篠田……次はもうない。お前はもう、半分死んでる……げふっ!」


「テメェ程度、何度だって倒してやるよ。俺に勝てると思うなよ」


地面に倒れた秋本の腹部を踏み付け、篠田さんが睨み付ける。


その一撃で、秋本は光の粒に変化して辺りに飛び散った。


「タケさん!やつらを追うぞ!いくらやつらが黒崎の仲間とは言え、これはさすがに納得行かんわい!!行けるか!?」