東京ヴァルハラ異聞録

怒りが身体を駆け巡っているかのような感覚。


熱くて、ピリピリと内側から筋肉を刺激しているような。


そんな俺の前に、屋根から飛び降りた拓真が声を上げる。


「敵を殺しただけだ!!お前も何人の人間を殺した!!お前に俺の文句を言う資格なんてありはしないんだぜ!!」


俺に怒鳴られ、怒りの感情を押し出したのか、短剣を構える拓真。


「おいおい、俺を忘れてるんじゃないのか?二対一で勝てるとでも……」


そう、背後で吉良が俺に言ったが、その言葉は別の人の言葉で遮られた。


「だったらワシが相手をしてやろう。久しぶりにのう……ワシも少しばかり自分のマヌケさに怒っている所じゃからな。悪いが手加減はできんぞ?」


「ジーザス……御田とタイマンかよ」


その声でわかる。


聞いたことのない、御田さんの強い口調。


そして……。


「ぐはっ!!」


秋本が、後方から吹っ飛ばされて俺の近くの地面に転がった。


全身がボロボロで血塗れ。


まともに戦えそうにないほどの怪我を負って。


「……秋本。テメェはよ、やってはならない事をしたんだぜ。その罪は死んで償え」


こちらも全身血塗れになりながら、篠田さんが……足を引きずって、俺達の前に現れたのだ。