東京ヴァルハラ異聞録

アクセサリーをジャラジャラ付けた、目の鋭い男。


軽そうな口調と服装からは、そうとは思えないほど強そうな気配が漂っている。


恐らく……俺と同じかそれ以上に強い。


手に持つ鎖の先に、分銅が付いている。


鎖鎌かとも思ったけど……両側に分銅が付いているからそうではなさそうだ。


屋根から飛び降り、吉良が鎖分銅を振り回してゆっくりと近寄って来る。


それを見た北軍の人達が、俺から距離を取るように離れたのだ。


鎖か……愛美の鞭と戦った時は戦いにくかったけど、これはどうだ?


本能的に、鎖を振り回している右手側を避けるように、俺は右に移動をする。


振り回した吉良の鎖分銅が、微かに地面に触れて「チッ」と音が聞こえた。


次の瞬間、鎖分銅が一直線に俺に向かって来たのだ。


速い……けど、見えない程じゃない!!


一歩後方に飛び、日本刀でそれを弾こうとしたが、吉良が引っ張り、鎖分銅は日本刀の前で動きを止めて力なく地面に落下したのだ。


それだけではない。


その攻撃に意識を向けさせて、吉良が俺に向かって駆け寄っていた。


慌てて日本刀を振るが、鎖を両手で持ってそれを受け止めた直後、右の拳に巻き付けた鎖が、俺の腹部に殴り付けられた。