東京ヴァルハラ異聞録

やはり秋本は強い。


車を持ち上げ、ビルでさえ倒してしまう篠田さんと互角に戦ってるなんて。


俺が勝てるとか、とても思えない。


「どうしたぁ!?動きが鈍ってるんじゃないのか!?昔の方が強かったぞ!」


「黙れよ。テメェを殺すには、今の力で十分だぜ。予定通り、沙羅と梨奈を助け出して西軍帰るだけだ!」


グッと拳を押し込むと、お互いに後方に飛び距離を取る。


完全に二人だけの世界。


このレベルの戦いに、周囲の人間は手を出す事も出来ずにただ見ている事しか出来ない。


「おい!今がチャンスじゃ!ボウズ!走るぞ!」


篠田さんが秋本を引き付けている。


このチャンスをみすみす逃す手はないと、御田さんが声を上げた。


「は、はいっ!」


出来ればこの二人の戦いを見届けたいけど、今はそれが目的じゃない。


早く、沙羅と梨奈さんを助け出さなければ。


俺達が助けられるなら、その方が神凪一派にはいいはずだ。


秋本達と直接的に衝突しなくて済むのなら。


そう考えた俺は、秋本を篠田さんに任せて宝蔵門に向かって走り出そうとした。


だけど……秋本が、北軍の人達をハルベルトで貫き、俺にも攻撃を仕掛けて来たのだ。