東京ヴァルハラ異聞録

「だったら、どうして俺達の足止めをしたんだよ。秋本の手先じゃねえなら通しても良かっただろうがよ」


将太の説明に、篠田さんが首を傾げて尋ねた。


「えっと……それはですね」


口ごもり、チラリと麻衣を見た将太。


「ほほう?こりゃあこりゃあ……」


御田さんがニヤニヤと笑みを浮かべて俺と麻衣を交互に見る。


「昴……まさかこの街にいるなんて思わなかった。でも、会えて良かった!」


そう言って、麻衣が俺に駆け寄り、抱きついて来たのだ。


それを受け止めるかのように、俺も麻衣の背中に腕を回して抱きとめる。


「な、なんだよ……人が見てるのに」


「だって!二度と会えないと思ってたから!嬉しいんだもん!」


顔は見えないけど、泣いているに違いない。


そりゃあそうだよな。


こんな殺し合いが続く街にいたんだ。


知っている顔に会うと安心するという気持ちはわかる。


俺も、麻衣と会うのを望んでいたはずなのに……敵として現れて、その感情を心の奥に押し込めようとしていたんだ。


「よきかなよきかな。時にボウズ、お嬢ちゃんはお前のコレか?」


いやらしそうな顔で、小指を立てて見せる御田さん。


「ち、違いますよ!友達です!そう……大切な友達ですよ」


俺はそう呟いて、麻衣の頭を撫でた。