東京ヴァルハラ異聞録

近くのビルに移動し、ブラインドを下ろして外から見えないようにする。


「俺達を殺す気がないって割に、随分な戦力を仕向けて来たじゃねえか、秋本もよ。それで殺す気がないって言われて、信じられると思うか?」


麻衣に攻撃を防がれ、腕を吹っ飛ばされた篠田さんからすれば納得出来ないのも無理はない。


「すみません。篠田さんほどの人の攻撃を止められるのは、麻衣のイージスの盾しかないと思って。それも賭けでしたけど」


そう言われ、ムスッとした表情に笑みが浮かぶ。


「私達は……秋本さんとは関係がありません。あの人とは別の組織というか……」


麻衣がそう言うと、俺と篠田さんは首を傾げて顔を見合わせた。


「どういう事だそりゃ。お前達も秋本も、同じ北軍だろうが。一つの軍に指揮系統が二つあるってのか?」


西軍は篠田さんをトップに、指揮系統は一つだもんな。


細かいグループは沢山あるだろうけど、今回の侵攻を見れば分かるように、号令一つで軍全体が動く。


「正確には三つです。秋本さんのが中心の、北軍最大勢力のグループが一つ。神凪瑛梨奈(カンナギ エリナ)が中心の、俺達が属するグループが一つ、もう一つは……それ以外の人達って感じですかね」