東京ヴァルハラ異聞録

そして、こんな中でも御田さんは首を傾げたまま動かない。


相手が二人だから手を出さない……なんて考えてるんじゃないだろうな?


「さて、そろそろお遊びは終わらせましょうか。これ以上進んでも、お前達では秋本さんは止められない。引き返すのなら、見逃してあげますよ」


将太の言葉に、苛立ちを募らせる篠田さん。


だけど御田さんは……。


「はっはっは!確かにこれは、お前さん達二人に足止めされてしまうかもしれんな。だが、お前さん達はワシらを殺す気がない。違うか?」


そう言って無防備に二人に近付き、将太の肩に手を置いたのだ。


「え、英太さん!?殺す気がないってどういう事だよ!」


御田さんが攻撃されたら、すぐにでも飛び掛かる。


そんな意思を含んだ篠田さんの殺気が、俺にまで届く。


……あ、そうか。


この二人、攻撃に殺気を感じないんだ。


つまり、俺達を殺す気では戦っていない……という事か?


「……さすがにわかりましたか。あなたと昴くんは攻撃して来なかったので、もしかして気付かれているのかって思いました」


「ボウズはわからんが、ワシは何となく気付いておったよ。とりあえずここでは目立ちすぎる。場所を変えようか」