東京ヴァルハラ異聞録

集まった人の5分の1は倒しただろうか。


血が飛び散り、欠損した身体の一部が宙を舞う中で、迫り来る人達をただひたすら斬り捨てる。


「待て待て!押すな!押すなって!!」


「誰だよこいつなら殺れるって言ったのは!あ、ああ……ああああああああっ!!」


徐々に、上がる声が悲鳴へと変わり始める。


この調子なら、篠田さんが来るまでにどうにかなるか!?


と、思った時だった。


人の群れの中から、爪のような物が飛び出して、俺の眼前に迫ったのだ。


「!?」


咄嗟に踏ん張り、その攻撃を回避しようとするけど、左頬から瞼にかけてかすってしまった。


このスピード……只者じゃない!


素早く後方に飛び退いて身構えると、人を掻き分けて現れた金髪の男。


「なーに調子に乗って暴れてんの?あーあ、こんなに殺ってくれちゃってさ」


その手には、俺を襲った爪が。


雰囲気といい、武器の形状といい、こいつに間違いはない。


「なんだよ。雑魚しかいないと思ったかよ?そんなわけないだろ」


ダラリと腕を垂らして、前傾姿勢。


こんな構え方をするやつに出会った事がないから、どんな攻撃をしてくるのかはわからないけど……迷っている時間なんてなかった。