東京ヴァルハラ異聞録

「おい、結城!」


御田さんと篠田さんに付いてエレベーターに向かおうとした俺を、嵐丸さんが呼び止めた。


「は、はい」


「いいか?二人が戦い始めたら、すぐにその場を離れろよ。とばっちりで死んだりしたら、元も子もねえからな」


改めて念押しする嵐丸さん。


いや、そんなに恐ろしい事になるの?


強い味方だと思ったのに、そんなんじゃ北軍よりも気を付けなきゃならないじゃないか。


「わ、わかりました……気を付けます」


そう言い、一礼した俺はエレベーターへと向かった。


一階に降り、入り口に向かって歩く。


「昼前には総力戦が始まるとして、正午までに浅草寺に到着しなければならないな。まあ、タケさんがいれば余裕だろうが」


「何言ってんすか。英太さんには負けますよ。久しぶりとか言って、また大暴れするんでしょ?」


二人の会話には……強者の余裕が感じられる。


戦い始めたらその場を離れろか。


どうなるかはわからないけど、嵐丸さんが言うくらいだから、かなりヤバいんだろうな。


「あ、御田さん。ありがとうございます。会ったばかりの俺に親切にしてくれて。でも、どうしてですか?篠田さんにまで頼んでくれて……」