東京ヴァルハラ異聞録

御田さんがそう言うと、皆驚いたような表情を一斉に向ける。


「え、英太さんが行くんですか!?い、いや……それなら北軍の連中と互角に……」


口に手を当て、久慈さんがそう呟く。


え?な、なに?


御田さんが、行くと行っただけで解決してしまうほど強い人なのか?


「そうなれば、俺がタケさんの代わりに守りますよ。久慈や嵐丸がいれば、ここまで南軍が侵攻して来る事はないでしょうけど」


初めて見る男がそう言うと、篠田さんも小さく頷いて。


「橋本が守るなら問題ないな。15時までには帰る。真由に頼まれたからな……沙羅の事も梨奈の事も、お前の事も。だけどよ、まだお前の言葉を聞いてねぇ。お前はどうしたいんだ、言ってみろ」


タバコの火を消し、ソファから立ち上がった篠田さんは、キャップを被り直して俺を指さした。


「俺は……沙羅を、梨奈さんを助けたいです!お願いします、力を貸してください!!」


出来るなら俺一人で助けたいけど、今の俺では不可能としか言えない。


情けないけど、誰の力を借りてでも二人を助けたいと思って、俺は頭を下げた。


そんな俺に、篠田さんが背中をバンバンと叩いた。


「よっしゃ、決まりじゃい!久しぶりの実戦すぎて腕が鈍ってないか心配だが、ボウズの為に張り切ってみるかな!」


御田さんも立ち上がり、やる気満々といった様子で。


「それにしても、英太さんとタケさんが行くとなれば、西軍全体に通達しておいた方が良いな」


「そうだな。あの二人が前線に立つなんていつぶりだ?巻き込まれたくなければ全員防衛に回れって言った方が良いだろ」


残った人達で話をしているが、そんなにおっかない事なのか。