東京ヴァルハラ異聞録

「俺は……行きます。死ぬかもしれないからって、何もしないのは嫌なんです。ここで沙羅と梨奈さんを失ったら、俺は行かなかった事を後悔し続けるでしょうから」


御田さんの言う通り、肉を食べれば食べるほど回復していくのがわかる。


自軍にいて回復するのは、腹が満たされているかどうかで変わるのか。


だから皆、戦闘が終わったらメシって言ってたのかな。


「ふーむ。じゃが、今のお前さんでは恐竜に赤ん坊が挑むようなもんだぞ?それでも行くと言うのか?」


「はい」


話をすればするほど、俺がやろうとしている事は勇気ではなく無謀なのだと露呈してくる。


「それに、さっき沙羅と言ったか?北軍の黒崎沙羅か?やつが他軍を渡り歩いている事は知っていたが、だとしたらワシらの敵じゃないか。死神とまで呼ばれた女を助ける理由はなんじゃい?」


この御田さんという中年男性、なかなか情報を持っているな。


秋本や沙羅が有名なだけかもしれないけど。


「えっと……沙羅と一緒に行動しててですね。バベルの塔に登りたいんです。沙羅の願いを……叶えてあげたくて」


「恋か。いやいやわかりやすくて良いぞ。愛する女を助けたいと思うのは当然だからな」