東京ヴァルハラ異聞録

俺がそう言うと、御田さんは目を見開いて。


「秋本……ってお前、北軍最強の男じゃないか。そりゃあ無理無理、半人前のお前さんに勝てる相手じゃない」


「ははっ……半人前か、確かにそうかもしれないですね。大切な人も守れないようじゃ」


「話はメシを食いながらするとしようか。食えなくても無理にでも食うんだぞ。そうすれば、怪我の治りは早くなる」


そして御田さんに連れて来られたのは焼肉屋。


御田さんが人を埋葬していた竹町公園から近い店。


テーブルに着き、タッチパネルにPBTを当てるとすぐに肉がテーブルの上に現れる。


「朝から焼き肉は辛いか?だが、回復は早いぞ?」


「……いただきます」


このまま、怪我が治らないまま助けに行っても、間違いなく殺されるだけだ。


そうなったら、沙羅も梨奈さんも殺されてしまうから。


「それにしても、相手が秋本じゃあ話にならん。やめとけやめとけ。無駄死にするだけじゃい」


焼いた肉を口に運びながら、左手を振って見せる。


普通の感覚なら、皆そう言うだろうけど……俺はそういうわけにはいかない。


この手で守れる人は全員守りたい。


そう、名も知らない人に誓ったのだから。