東京ヴァルハラ異聞録

「……全てをなんて大袈裟な事は言えないけど、この手で守れる人は全員守りたいと思ってる。無謀じゃない、今度は勇気を持って。沙羅を失いたくないんだ」


強く、今になってわかった想い。


沙羅を処刑すると聞かされ、無性に寂しく、悲しくなった。


あの笑顔を見る事が出来なくなると思って、絶対に止めなきゃと決意した。


『キミは……俺に似ているね。俺も昔、同じ事を言った。だけど、きっと大切な人を悲しませた。同じ道を歩まないように、キミに俺の力の一部を渡すよ』


そう言った男が、ぼんやりとした像で俺の前に現れた。


俺よりも少し年上だろうか。


はっきりと顔はわからないけど、なんだか懐かしい雰囲気だ。


いつもそばにいてくれたような……そんな安心感がある。


「えっと……あなたは……」


『俺はキミを待っているから。大切な人を守る力は、その「無銘刀」が与えてくれる。真の姿を取り戻すのはキミ次第だ。さあ、キミの名前はなんだい?』


名を名乗ってくれない。


だけど……この男の言う事は信じられる。





「俺は……結城昴」




『結城昴……希望を信じて進むんだよ』


優しいその声と共に、俺の身体が浮き上がる感覚に包まれた。


頭上にある光へと向かい。