冷たい。
身体を死が蝕んでいく。
だけど、まだ死ねていないのか?
深い闇の中で、ただふわふわと漂っているかのような感覚に包まれている。
『……勝てない敵が現れた。それでキミは諦めるのかい?』
そんな中で聞こえた声に、俺は闇の中で瞼を開いた。
何も見えない、何も聞こえない。
今の声は……幻聴か何かかと思うほどに。
「誰だ?ここはどこなんだよ」
『ここはどこかって?キミの意識の中だよ。絶望に溺れれば意識は闇に堕ちる。絶対に勝てない敵を前に、キミの意識は敗北を認めてしまったんだ』
また、あの声。
「絶対に勝てない……わかってても俺は戦った!沙羅と梨奈さんを取り戻す為に!絶望なんてしていない!」
『無謀と勇気は別物だろう?キミは、梨奈さんだけでも逃がすべきだったんだ。それなら、犠牲は沙羅だけで済んだのだから』
確かに……そう言われればそうかもしれないけど、だからって沙羅を見捨てるなんて出来るはずがないだろ。
「それでも助けたかったんだ、沙羅を……」
『じゃあ、もう一度秋本が現れた時、キミは戦えるかい?全てを守る事が出来るかい?』



