東京ヴァルハラ異聞録

このジャンプ力……沙羅の比じゃない!


「じゃあな。西軍に帰って久滋にでも頼むんだな。『助けてください』ってよ」


秋本の声が背後から聞こえた瞬間……俺の背中に今までに感じた事もないような激しい痛みが走った。


全身の骨が砕かれたような、内臓が破裂したような、とてつもない痛み。


秋本の攻撃に弾かれた俺は、西軍の方に向かって飛ばされた。


どう見ても1kmはゆうにある距離を、秋本の攻撃で。


隕石のように、落下しながら光の壁を通過する。


俺達が北軍に侵入した昭和通り。


その通りに建っているビルに直撃し、俺は動きを止めた。


悲鳴の一つもない。


声を出す余力なんて、空中での一撃で既になくなっていたから。


衝突の衝撃でへこんだビル。


ズルリとそこから滑り落ちた俺は、地面に落下して意識を失った。


死んだのか、気絶したのかはわからない。


ただ、沙羅と梨奈さんを奪われたという絶望感に包まれていたのは覚えている。


明日の正午に沙羅と梨奈さんが処刑される。


何としてでも止めなければならないけど……今の俺にそれが可能なのかわからないまま。


深い、闇へと沈むような感覚があった。