東京ヴァルハラ異聞録

そう言い、沙羅を降ろした秋本は、首を左右に傾けて俺を見る。


次の瞬間。


高速で接近した秋本のハルベルトが、屋上の床をカリカリと削りながら、俺に向かって振り上げられたのだ。


その攻撃は……最初に見ているぞ!


すかさず右に避けつつ、日本刀の背を左肘に当てて固定する。


ハルベルトが、俺の左腕を切断しようとするが、日本刀に阻まれてその動きを止めた。


驚いたような表情を一瞬浮かべるが、すぐに笑みを浮かべる。


「お前、名前は。俺の初撃を止められるようなやつが、西軍にいたなんて知らなかったぞ」


「沙羅を返せ!そしたら名乗ってやる!」


近距離での会話。


距離を取ろうと、秋本に蹴りを放つが、それはあっさりと回避される。


「沙羅、沙羅って、なんなんだよお前は。こいつはお前の女なのかよ」


武器で沙羅を指し、訝しげな表情で俺に尋ねた秋本。


「そ、そういうわけじゃないけど……大切な友達なんだ!」


俺がそう答えると、秋本はあからさまに不機嫌な表情へと変わった。


「大切な友達だから、自分が強く願えば戻って来る……なんて考えてるんじゃないだろうな?わかってねぇよお前。そんな願いなんてな、圧倒的な力の前では叶えられない、ただの思考に過ぎないんだよ」