東京ヴァルハラ異聞録

「この街に来て、初めて悟さんに会った時、こんな凄い動きが出来る人がいるのかって思いましたよ」


俺の声は届かない、目の前の敵を殺すだけの殺人マシーンと化した悟さんに、そう声を掛ける。


「無駄と言っとるだろ!そいつにはわしの声しか届かん!」


そんな事はわかっているから、延吉の声は無視して話し続ける。


「いつか、悟さんみたいになれるかなって思ってたけど、それじゃあダメなんですね」


相変わらず表情一つ変えない悟さんを相手に、どう戦えばいいかを考えろ。


スピードは互角としても、力では完全に負けている。


そして、悟さんは俺を殺す事を躊躇しない。


俺は……悟さんを殺さなければ被害が広がるとわかっていても、どうにかして悟さんを助ける手段はないかと考えている。


この差は大きい。


「どんな手を使ってでも、悟さんを超えなきゃいけないですよね。ここでつまずいてるようじゃ、バベルの塔なんて行けないですから」


戦いながら考えるしかない。


日本刀をグッと握り締め……俺は地面を蹴って悟さんに接近した。


それに反応して、一歩踏み込んで俺に槍を突き付ける。


お互いの速度が相まって、恐ろしい速さで槍が迫った。