東京ヴァルハラ異聞録

「また会ったわね、星野延吉!今度はそう簡単には殺られない。黒部さんを返してもらうわよ」


風火輪を構え、いつでも攻撃に移れる体勢で、梨奈さんが延吉を睨みつける。


「おお、この前のべっぴんさんじゃないか。いやあ、あの時は殺してしまって申し訳なかった。とっ捕まえて売り飛ばせば、かなりの値が付いただろうに」


タバコを灰皿に入れ、ニヤニヤと笑う延吉。


その言葉は、西軍で見たあのオークションを思い出してしまう。


「そんな事、させてたまるか!」


素早く延吉に向かって駆け、日本刀を振るう。


だけどその斬撃は、突如目の前に現れた悟さんによって受け止められてしまったのだ。


そして、痛烈な前蹴りが俺の腹部に直撃する。


後方に飛ばされ、地面を転がった俺に、さらに悟さんの追撃。


地面を転がり、それを回避するだけで精一杯。


「無駄じゃい!黒部悟はわしを守る!そもそも、わしを殺したところでこいつは元には戻らん!残念だったな。黒部悟を殺さん限り、魂の鎖が解ける事はないわ!」


悟さんの攻撃を凌ぎ切り、距離を取った俺は、呼吸を整える為に深呼吸。


「だったら、悟さんを殺すしかない。殺せば、西軍のどこかで復活するからな」