東京ヴァルハラ異聞録

「着いたわ、ここよ」


確かにそう書かれてあるけど、児童遊園……というわりには、遊具がなにもない公園なんだな。


狭いし、俺が間違えて行った公園とはえらい違いだ。


「それにしても梨奈さん。随分飛ばしてましたね」


「え、ええ。早くこの武器に慣れたくて。相手は延吉でしょ?昴くんの足を引っ張る事だけはしたくないもの」


延吉か……この辺りには、そんなおじいちゃんなんて人は見当たらないけど、やっぱり場所を変えたのかな。


悟さんの姿も見ていないし、情報集めからしなければならないのか。


「ここにはいないみたいですね。どうします?他の所に行って……」


そこまで俺が言った時だった。


僅かに感じた殺気。


それを察知して振り返ると……。


身体を回転させ、俺に向かって空中で槍を突き付ける男の姿があったのだ。


「くっ!させるかっ!!」


慌てて日本刀を振り上げ、その攻撃を受け流す。


素早く距離を取り、その男を見た俺は……心臓がドクンと高鳴ったのを感じた。


槍を手に、着地して俺を見る。


その口には奇妙なマスクが装着されていて、そこから垂れ下がる短い鎖。


一瞬誰だかわからなかったけど……この人は間違いなく悟さんだった。