東京ヴァルハラ異聞録

瞬きだ。


俺の目をジッと見ていて、瞬きする僅かな時間の隙を突いて移動しているんだ。


元の世界の感覚で考えてはいけない。


俺の身体能力だって、元の世界では考えられないものになっているんだから。


舞の動きは捉えられる速度とはいえ、凄まじく速い事は確かだ。


瞬きの間に俺の死角に移動するくらいは可能に違いない。


「さっきからずっと邪魔して!あんたほんまになんなん!?」


「言ったはずです。僕は千桜拓也!可憐で守りたく女性が好きな紳士ですよっ!!」


飛び退きながら、握り締めた金属の棒を舞に投げ付ける。


レイピアでそれを全部撃ち落とそうと振るうが、今がチャンスだ!


足の裏に意識を集中、地面を蹴って、舞に向かって駆け出した。


最後の一本を落とし、俺の目を見る舞。


あえて、あんたの狙いに乗ってやるよ!


俺は、日本刀を握り締め、目を半分だけ閉じて見せた。


瞬間、舞の足が左側に動いた。


「見えた!そこだっ!」


地面を踏みしめ、左側に向きを変えて日本刀を振る。


そこに移動した舞は目を見開いて、レイピアで日本刀を受け止めるけど……その細身の剣では、受け止め切れなかったようだ。