東京ヴァルハラ異聞録

さあ、どう動く……右か、左か。


千桜さんに出来たんだから、俺も意識を集中していれば出来るはずだと、舞を凝視する。


「ほな、行くで?」


舞がそう言った次の瞬間、千桜さんが俺の方に金属の棒を投げ付けた。


慌てて上体を反らし、それを回避した瞬間、俺の視界の右側から、銀色の刃が飛び込んで来て、目の前を横切ったのだ。


「痛っ!」


先端が尖った棒が、俺の右側にいつの間にか回り込んでいた舞の肩に刺さる。


「わたるくん、こんな単純な手に引っ掛からないでください。僕にだって、この人の動きを捉える事が出来るんですから」


「あんた!舞に怪我させるとかありえへん!ハゲのくせに!!」


後方に飛び、肩の棒を引き抜こうとするが、煙のように消え、千桜さんの手に戻る。


俺が武器を放した時と明らかに違う。


身体のどこかに接していた武器が離れると、すぐに消えるというのに。


後でPBTを確認しておこう。


「僕はハゲじゃないと言ったはずです。そして僕がハゲていると思い込んだように、これを格闘戦用の武器と思い込んだでしょう?それは大きな間違いですよ」


なんだか無駄にかっこよく見えるのが腹立つな。