東京ヴァルハラ異聞録

おかしいな……今までだったら、強化すれば強くなってる感覚があったのに。


今回は大して強くなっているようには感じない。


「くそっ、なんなんだよ……でも、やるしかない」


焦る俺の様子に気付いたのか、舞がフフッと笑ってレイピアを向けた。


「なんや?もしかして成長限界なん?それで限界なら、舞には勝たれへんで?大人しくペットになっとき」


「冗談でしょ。俺にはやらなきゃならない事があるんですから」


「延吉の居場所を知りたいという事は、悟を取り返しに来たん?でも残念やったな。悟は多分、元には戻らへんで?」


悟さんが元に戻らない?


どういう事かわからないけれど、そうだとしても探さない理由にはならないだろ。


「それは後で考えます。今は舞さんを倒します」


「昴くんに出来るとは思えへんけど、やってみたらええで」


周囲の戦闘は関係ない。


決闘ではないけれど、俺と舞の戦い。


日本刀を右手に、鞘を左手に持ち、深呼吸を一つした。


腰を落とし、一撃で決めるつもりで。


足に意識を集中する。


地面を蹴って、舞に向かって駆け出したその時。


オレンジ色の塊が、再び俺の前に現れたのだ。