東京ヴァルハラ異聞録

「じゃあ……行きますよ舞さん」


「名前呼んでるだけやん。けど、まあええわ」


雑念は振り払う。


目の前にいるのは、俺よりも強いかもしれない強敵だ。


今度こそと、意識を舞に向ける。


そして、一気に距離を詰めて日本刀を振った時。


舞が、右側に動いた!


「見えた!そこっ!」


すかさず、右に顔を向けて日本刀を振るった。


だけど……そこに、舞はいなくて、日本刀が虚しく空を切る。


そして、俺の視界を遮るように銀色の物が横切り、慌てて身体を反らしたけれど、左の瞼と鼻をかすめたのだ。


赤い液体が左目を覆い、俺はそれを拭った。


「フェイントやで?簡単な手に引っ掛かるんやから。ほんまに可愛いわぁ」


舞は……元いた場所から動いていなかった。


こんなふんわりとした人なのに、俺で遊んでいるのか。


沙羅もあんな雰囲気だけど強いもんな。


舐めてたわけじゃないけど……戦い方を変えないと、延吉から悟さんを取り戻すなんて出来ないぞ。


そう感じた俺は、日本刀を口にくわえて。


ポケットからPBTを取り出すと、回復を一度、そしてガチャの画面を開いた。


強化出来るうちにしないと、勝てそうにないから。