東京ヴァルハラ異聞録

「もごっ!ちょ、ちょっと!」


慌てて舞の腕を解き、顔を横に振った。


びっくりした。


今のはラッキーだったけど、もしも攻撃されていたら……気持ちいいじゃ済まされなかったぞ。


「もっと抱いてたかったのにぃ。仕方ないな、お姉さんが遊んであげるわ」


そう言ってレイピアを振り、俺に向かって構えたのだ。


剣の形状は、光輝の物よりも随分と細い。


刺突がメインになるだろう。







「何考えとるん?」





舞の武器に意識を集中していたのに……いつの間にか背後に回り込まれて耳元でそう囁かれていた。


慌てて振り返り、日本刀を振るけど、舞は後方に飛んで攻撃を回避した。


「くっ!速い!」


「舞が速いんやないで?僕ちゃんの意識が散漫なだけや。その隙を突くなんてな、簡単な事やで?」


日本刀が強化されて、身体能力が上がっている。


その中でも、動体視力はかなり上がっているはずなのに……目に頼っているのがダメだってのか。


「……その『僕ちゃん』っての、やめてもらえませんか?俺は結城昴です」


「昴くんかぁ。舞はなあ、小沢舞って言うねん。可愛い呼び方してな?」


……なんだか調子が狂う人だな。


だけど、強い事はこれまでの動きでわかる。