東京ヴァルハラ異聞録

斧、ナタ、包丁に金属バットと、俺を殺そうとする意思が迫る。


以前、北軍に侵攻した時よりも全然強くなっている。


まるでスローモーションのように、俺に迫る武器を全部確認する事が出来るほどだ。


「死にたくないなら、近寄るな!」


再び身体を回転させ、襲い掛かる人達を切断する。


でも、人の波は途切れず。


俺が何を叫んでも、武器を振り上げて迫る。


強くなるという目的の為には良いかもしれないけど、これじゃあキリがない。


そう思いながら、次の攻撃に備えて日本刀を構えた時だった。






「おっと危ない!一人で飛び込むなんて危険ですよ!」







俺の頭上を飛び越えて、オレンジ色の塊が着地すると同時に、何かを投げて……両側の人達が次々と倒れて行ったのだ。


「勇気は大切。ですが、勇気と無謀は違います。そう、僕は勇気を知っています。僕は千桜拓也(チザクラ タクヤ)。若者を無駄に死なせるわけにはいきませんよ!」


そう言って振り返り、グッと親指を立てた、オレンジのキャップにメガネの男。


良くわからないけど、この人に任せようと俺は人の頭上を飛んで先に進んだ。