東京ヴァルハラ異聞録

「昴くんは、初めて会った時から沙羅に優しくしてくれたから大好きだよ。これからもずっと一緒にいてね」


これは……そういう事なのか。


俺にはこんな経験は一度もない。


言ってしまえばチェリーボーイだ。


だけど……今ここで、最大のチャンスが訪れようとしている!


「ずっと……一緒にいるよ。強くなって、沙羅の足を引っ張らないように」


手を握ったまま横向きになって、ゆっくりと沙羅顔を近付ける。


その言葉に嘘はなかった。


本当に一緒にいたいと思ったし、強くならなければと。


いつの間にか、このほんわりとした雰囲気の女の子に惹かれていて、好きになっていたのかな。


「昴くん……」


沙羅が小さな声で俺の名前を呼ぶ。


大好きと言ってくれたんだ。


このまま行ける。


そう思ったけど。








「どうしたの?顔近いよ?」








笑顔でそう言われた俺は、それ以上近付くのをやめて、再びベッドに仰向けになった。


「は、ははっ。近かったかな。ごめんごめん。俺達は仲良しだもんなー。いつまでも一緒にいよー」


「うん。仲良し仲良し」


俺よりも……沙羅の方がそういう事には疎かったかと、溜め息をついた。


無理矢理キスしても、なんだか気まずくなりそうな気がするから。