東京ヴァルハラ異聞録

ソウルを使って回復したのだろう。


沙羅が起き上がり、俺の背後から声を掛けた。


「だ、大丈夫ではないかな。見ての通り……」


自軍にいるおかげで、治癒速度は早いけど、痛みは顔を歪めるくらいには感じる。




「こいつらにも、教えようと言っているんです。昴が本当に裏切り者なら、嵐丸さんが生かしておくはずがないでしょ。黒崎だってそうですよ。梨奈さんを見て、本当に喜んでいました。皆ただ、真由に会いたいだけなんです」




「だから……なんだってんだよ。秘密が漏れたら、その分危険が増えるって言ったのはテメェだろうが。真由は俺が守るんだよ!他の誰の役目でもねぇ!!」


話がよくわからない。


でも、どうやら戦いを続行するって雰囲気ではないようで。


俺はゆっくりと日本刀を下ろした。


「怒りのあまり、時間が迫っていても気付かないようですね。行かなくても良いんですか?」


久慈さんが壁に掛かっている時計を指さしてみせると、篠田さんはハッと我に返ったみたいで。


メリケンサックを外し、殺意に満ちた目が穏やかなものに変わったのだ。


「チッ……一度だけだ。一度だけ真由に会わせてやる。その後お前らは殺す。それでいいなら付いて来い」