東京ヴァルハラ異聞録

それは、嵐丸さんに対する精一杯の敬意だろうか。


久慈さんの言葉通り、連行されている俺達を見る人はいても、襲い掛かろうとする人はいなかった。


「嵐丸さん、報告は聞きましたよ。ポーンだけじゃなく、新しい化け物、ナイトまで現れるなんてね。今まで以上に強くならなければならないって事ですか」


「俺じゃない。結城と沙羅ちゃんが確認したんだ。こいつらは西軍の為にやってくれたよ。少なくとも俺は、結城が裏切っているとは思えないね」


フンッと鼻を鳴らして、久慈さんにそう言った嵐丸さん。


こんな状況だけど、庇ってくれるのは嬉しいもんだな。


裏切り者裏切り者と言われて、何が正しい行動なのかわからなくなっていたから。


「それを決めるのは俺じゃないですから。篠田さんが黒と言えば、白も黒になる。わかってますよね?」


力を持つ者が絶対。


その言葉からでも、そうだと言うのがよくわかる。


西軍は、篠田さんの意思で動いているのだと。


「ところで黒崎。キミはどうして『カモフラージュ』を使わないんだ?敵軍の中にいるんだ。その緑の影はいささか目立ちすぎるだろう?」


また、俺の知らない用語が飛び出したぞ。