東京ヴァルハラ異聞録

「な、なんだありゃあ……ケンタウロス……?いや、違うか」


俺も、光輝と同じ感想だった。


巨大な犬か狼か……その胴体に、甲冑を着た人間の上半身のような。


ポーンよりもさらに大きな化け物。


初めて見たけれど……あれはやばいと本能でわかる。


「理由はわからないけど、アレがいるからポーン達が縄張りから出たって考えた方がいいね」


「死神に同感。ポーンの次だから……名前は多分あれだろうと思うけど」


川本がそう言って、PBTを取り出すと、操作を始めた。


そして、小さく「あー」と呟くと、俺達にその画面を見せたのだ。


そこには、「ナイト」と書かれた、あの化け物のビジュアルが載っていた。


ポーンとナイト、それ以外は「???」と表記されている。


「……『ナイト』?いや、確かにナイトと言われたらそう見えなくもないけど……じゃあ、ルークやビショップなんかもいるって事か?」


まるでチェスの駒のようだ。


だけど、ポーンであの強さだとしたら、それ以上ならどれだけ強いんだよ。


「こりゃあ……ますます厄介な事になったな。どうしてあんな化け物がいるのかは知らないけど、戻って報告をした方が良さそうだな」


川本はそう言って立ち上がった。