東京ヴァルハラ異聞録

「光輝『さん』な!お前、俺より年下だろ?年下なのに……俺より強くなりやがって。やっぱりあれか?お前も強くなってこの街で自由気ままに暮らしたいって口かよ」


走ってる最中なのに、よく喋るな。


まあ、走ってるって言っても、歩きながら話してると同じくらいしか体力の消耗はないから良いんだけど。


「いや、俺は……早く元の世界に戻りたくて、強くならなきゃって思ってるだけなんだけど。その前に、会いたい人がいるんだよ」


それは、俺だけの願いではない。


沙羅と梨奈さんの願いでもあるから。


「光輝はどうなんだよ。早くキングを破壊して、元の世界に戻りたいんだろ?」


「光輝『さん』な。まあ、早く戻りたいけどよ、俺より先に帰したいやつがいるんだよ。だから、俺はその後だ」


なんか……予想外の答えだな。


皆それぞれ何かしら想いがあって戦っているとは思ったけど、光輝がそんな事を考えていたなんて。


「これがまた弱っちいやつでさ、泣き虫なのに絶対に帰るんだって言い続けてるんだよな。ほんと、バカなやつだよ」


「……好きな人?」


「まあな……って違うわ!誰があんなやつ!早く俺の前からいなくなってほしいから、さっさと元の世界に帰してやりたいだけだ!」