東京ヴァルハラ異聞録

「ふぅ……手間かけさせやがって。おい、桜井。大丈夫かよ」


「と、当然。この程度何でもないんだから」


嵐丸さんと、侑樹の方も終わったようだ。


じゃあ、残るは沙羅と光輝だけかと思ったけど。


「これで全部倒したみたいだな。じゃあ、そろそろ総力戦の続きと行きますか!」


既に終わらせていたみだいだ。


今、協力していたのに、次の瞬間にはまた殺し合うのかと、やり切れない気持ちになっていた時だった。


「待ちなさい、光輝。ポーンがこんな奥にいたって事は、ここに来るまでにどちらの軍も被害に遭っているはず。それに……こんなにはぐれがいるなんて、おかしいと思うのよ」


戦いを再開しようとする光輝を、侑樹が静止して疑問を口に出した。


「総力戦が始まってすぐだ、どこかに潜んでいたと考えるのが妥当だろうけど、確かにはぐれが徒党を組むなんて見た事がねえ。何が起こってるんだ」


嵐丸さんも、不思議そうに空を見上げる。


その視線の先にはあの白い塔があった。


「この露地から来たって事は……光の壁の向こう側、南軍に潜んでたって事だ。もしかすると、侵攻前に南軍の人間が何人も殺られたかもしれない」


露地を指さして、川本がそう答えた。