東京ヴァルハラ異聞録

「か、川本さん。何か思い付きましたか?」


「いやあ。肝心の少年がその調子じゃあね。身動き取れなくなるまで殴り続けるくらいしか。後は、心臓の動きが止まるまで殴り続けるか」


考えている事は同じか。


確かに、川本の攻撃なら、殴り続ければ心臓を止めることは出来るかもしれないな。


それは脳だって同じ事が言えるかもしれないけど、ポーンにガードされれば難しくなる。


「……俺も心臓を狙います。ダメな時は、川村さんに任せます」


「おいおい、随分弱気……いや、待てよ?いいよ、やってみなよ。私が上手く合わせてやる」


合わせる……の意味はわからなかったけど、これまでの川本の動きを見ていれば、何をしても任せられる。


そう思った俺は、深呼吸を一つ。


日本刀をポーンに向けて、その心臓目掛けて駆け出した。


「グルルルァァァッ!!」


それを迎え撃つように、ポーンが吠えた。


俺を掴もうと右手を伸ばす!


それを回避する為に、身を低くして地面を滑る。


しかし、ポーンの目は俺を捉えていて。


左手が、俺の右側から掴もうと迫って来たのだ。


「飛べっ!!」


後方から聞こえた声に、俺はその場で飛び上がり、ポーンの頭上に逃げた。