東京ヴァルハラ異聞録

「なんとかしますよ。まだやれる事はある」


「いいねぇ。その諦めない精神、嫌いじゃないよ。だったら見せてみなよ」


ニヤリと笑う川本に頷いて、俺は左手でPBTを取り出した。


「グァウッ!グルルァァァッ!!」


と、同時に、ポーンが俺に向かって走る。


瞼を傷付けられた事に怒ったのか、一直線に。


巨大な拳が迫る!


「う、うわっ!」


慌てて後退するけど、素早く繰り出される左右のパンチに防戦一方。


その拳に日本刀を振るってみるけど、やはり硬くて刃が通らなかった。


「オラ!私を忘れてんじゃねぇよ!」


横から川本が殴り掛かるが、それでもポーンは俺から目を離さなかった。


飽くまでも狙いは俺って事か。


この調子じゃ、あれが出来ない。


そう考えた俺は、日本刀の柄を口にくわえて、左手のPBTの画面を見た。


武器を取り出していないと、身体能力は普通に戻る。


それは、武器を出していない時に感じたから。


両手を自由にするにはこの方法しかなかった。


「こんな時にPBT……何をするつもりだ!?」


川本が尋ねるけど、これしかないだろ!


ソウルは22個。


光輝達と戦うまでに、襲い掛かって来た南軍の人達を殺して得たソウルだ。