東京ヴァルハラ異聞録

ポーンの身体が「く」の字に曲がる。


俺だけじゃなく、悟さんが手も足も出なかったポーン相手に、どんな強さなんだよ。


「オラオラオラ!!たかだか狼人間が、いい気になってんじゃねぇよ!!」


さらに、左、右と、凄まじい速度と破壊力のパンチがポーンのボディに放たれる。


さすがのポーンもこの攻撃を嫌がったのか、川本に向かって大木のような腕を振る。


「おっと危ない。いくら私でも、こいつの攻撃はやばいからな」


ヒットアンドアウェイ……川本はポーンの攻撃を、後方に飛ぶ事で回避をしたのだ。


それにしても……なんてやつだよ。


あのポーンと互角に渡り合っているじゃないか。


「おい、少年!ボーッと突っ立ってないで、少しは手伝えよ!何もしないで、ポーンが逃げると思ってんのか?」


「そ、そういうわけじゃ。やりますよ。やらなきゃならないんでしょ」


なんだか不思議な気分だ。


さっきまで殺し合っていた敵と、今はこうして肩を並べて共に戦っているなんて。


でも……人間同士で殺し合うよりずっと気が楽だ。


「……行きます」


「よし、行け」


そう言って、俺と川本はポーンに向かって駆け出した。