東京ヴァルハラ異聞録

その声に、戦っていた他の二組も気付いたようで、手を止めて顔を向ける。


「う、嘘だろ……こんなところに『はぐれ』が」


光輝が声を震わせながらそう呟いた。


俺と美佳さんは、以前人形町にこいつらがいたのを見ている。


だけど、その時は一匹だけだった。


「チッ!!吉瀬、一旦戦いはストップだ。まずはあれをどうにかしないと、どちらの軍にも被害が広がる。それはお前も望んじゃいないだろ?」


「同感だね。まさか川本と共闘する事になるとは思わなかったが、そんな事も言ってられないからな」


嵐丸さんと戦っていた女の子、川本と呼ばれた子が、拳を下ろして俺達の方を見た。


それは、二人だけではなく、沙羅ともう一人の女の子も手を止めていたのだ。


「七花の言う通りね。私達はともかく、あいつらがいるなら部隊が壊滅しかねない。西軍も南軍もね。だから、戦闘は中断。『はぐれ』をまず先にどうにかしましょう」


……今まで戦っていたのに、こうも簡単に手を組めるのか?


いや、よく考えてみれば、俺達は別に憎しみ合っていて戦っているわけじゃないんだ。


戦わなければ、人を殺さなければ強くなれない。


そして、強くなければ元の世界に戻る事も出来ない。


誰もが、嫌々戦っているのが本当の所なのだろう。


それを、少し忘れそうになっていた。